【つながりびと02】みのりさん

『優しさが、人を集め、人の輪を広げて行く』

私が初めてみのりさんと出会ったのは、LGBTQコミュニティ「Tsunagary cafe」の場であった。みのりさんは、運営のお手伝いとして、サポーター役として参加されていた。本当にお優しい方で、私が初めて当事者の集いに参加したこともあって、みのりさんのおかげで気持ち良く過ごせたことを覚えている。幼少期からの体験をお伺いして行くと、その体験や感覚が、非常に自分と重なるようでもあり、とても共感ができた。生まれた男性の性から、自身を内観し、苦しい経験を経ながらも、今現在は女性として自分らしく生きることを決意。そのお優しいお人柄あってか、多くの人のご縁に恵まれ、「特定非営利活動法人MixRainbow」を設立された。地元、兵庫の尼崎市の地域から、LGBTQの当事者やアライ、そしてまた行政へも働きかけをされている、みのりさんのライフストーリーをご紹介します。

 

みのりさん

1968年、兵庫県 生まれ。2021年8月に、「特定非営利活動法人MixRainbow」を設立。当NPO法人の理事長を務めている。

特定非営利活動法人MixRainbow(ホームページはこちらから)
LGBTQ+の方々と、その理解者、応援者の皆さまが集い、相互に理解しながら自分の生き方の手本となる人たちと出会える居場所を作る場所です。勉強会や交流会は、当事者やアライの方どなたでも参加できます。

Q:自分の性について気づいたきっかけは?

・違和感があったのは、幼少期の頃からです。他の男の子は、野球が好きだったけど、私はピアノに憧れていました。男の子向けのおもちゃも、そんなに興味を示さなかったというか。小学生になると、ランドセルは黒色なのかな…とか。当時は好みが違うかなぐらいの感覚でした。

・小学校の時は、仲が良くなるのは女の子が多かったです。で、女の子の方は、好きというような雰囲気を出している子もいたりして、自分は仲良くしたいと思っているだけなのに、どうしたらいいのか戸惑ってしまいました。男の子が好きなことには馴染めない、女の子と仲良くしたい…。ただ、当時はなぜそうなのか、ということが分かりませんでした。

Q:当時、どのようなことに悩んでいましたか?

・中学生になっても、仲良くなりたいのは女の子でした。「もしかしてこれが恋愛なのか?」と思いましたが、「なんか違う」という感じでした。今考えると、それは、「私自身が女性に憧れていた」ということ。その憧れが恋愛なのかの境が分からなかったんだと思います。

・高校は体育系の気質がばりばりの男子高へ進学しました。まったく女子がいない…、気がまぎれるかなと思って、ブランスバンド部に入部をしました。マーチングで1日中歩き回った日常でした。思春期は、異性との出会いもなく、かといって、同性の男性に対しても、この当時は恋愛感情を持つということは特にありませんでした。

・その後、大学は、男女共学でした。女の子の友達もでき、実は、何人か良い雰囲気になった人もいたんです。自分からではなく、相手が好意を寄せてくれたというか、…好意を寄せてくれることは嬉しかったけど、しっくりこない。そしてまた、「男性としての自分を求めている、中身としての自分ではなく、性別としての男性を求めているんだな」と、思いました。けど…、私にはそれに応えることできない。解決できない、自分の性に対しての悩みはずっと続いていきます。

Q:自分の性を見つめるきっかけとなった出来事は?

・その後、26歳の頃一度結婚するものの、自分のことを家族にオープンにすることもなく、色々な経緯を経て、結婚生活に終止符を打つことになりました。

・離婚と同時に、「自分らしく生きよう、無理しないで生きよう」そう思い、女性として生きること、ホルモン剤の投与なども始めました。今から約10年前、当時、インターネットが広がり始めた2010年くらいのことです。

・そして、その数年後、名前を「みのり」へ変えました。でもまだ、戸籍上の性は女性ではなく、コロナもあってか、性転換の手術にタイに行くのはこれからなんです。

Q:今現在のご自身のセクシャティについてはどう認識されているか?

・性自認は女性だと思っていたけど、恋愛対象が、ずっと分からなかったですね。そんな時に、地元、大阪で、いくつか交流の場に出向き、LGBTQコミュニティ「Tsunagary cafe」に巡り会いました。

・性自認は女性、けど、「恋愛対象として、男性はどうなんだろう?」と思いました。憧れはある。けど、女性に対しても憧れがあり、男性に対しても女性に対しても、憧れがあるんだなと思いました。そして、自分の好きの対象は、女性寄りの男性と、その後気づきました。「パンシェクシャル」という言葉に出会って、自分の性自認が腑に落ちたんです。対象は、100%女性・男性ではなく、Xジェンダー、クイアが対象なのかなと。だから余計、複雑で出会いも難しいんです。

Q:カミングアウトのきっかけは?

・ずっと言わないように、我慢すればと、そう思っていました。けれど、名前を変えたことで、自己肯定感も上がり、それがきっかけで、自分の親にもカミングアウトすることができました。

・カミングアウトは、無理して言おうとしなくてもいいのかなと思います。その人なりの時が来たら、自然の流れで言うことができると思います。

 

Q:特定非営利活動法人MixRainbowの活動のきっかけは?

・当事者の集いの場が、地元でもないのかな?と、探していたところ、地元、尼崎市でLGBTQに イベントがあるのを見つけました。そしてそこで、尼崎市の市役所のダイバーシティ推進課の担当の方と出会います。当時、尼崎市が2020年1月のパートナーズシップを取り入れる直前のタイミングともあり、私のやりたい活動と、その担当の方との話が意気投合しまして…。この活動がきっかけで、現在のMixRainbowができていったと言えます。

・MixRainbowの発足は、自分でもこんなすぐ実現できたことを驚いています。当事者のつながりの場や市の活動を通して、人と出会う中で、サポートしてくれる方も増えて行き、団体を作りたいなと思って、約1年で任意団体となり、その半年後には、NPO法人として発足しました。今思うと、人のご縁やつながりがあったからこそで、何をどうしたらいいか分からないことも、すべて、色んな方とのつながりの中で、教えてもらいながらやってこれたという感じです。

Q:MixRainbowの活動をしていて思うことは?

・当事者の方が籠らず社会に出やすくなるためには、アライの方にも活動に参加してくれるようになることが大事だと思いました。

・その意味では、MixRainbowの活動を通して、アライの方にも、理解を深めていただていると感じます。中には、活動を手伝いたい、という方も出て来て、そういう輪が広がって来ているのが、嬉しいことです。あるアライの方の発想で、LGBTQのファッションショーを開催しました。ファッションショーのウォーキングって、楽しいんですよ(笑)。

Q:LGBTQの課題、今後の活動の展望は?

― 自分の性を明かせないという方が大方だと思うが…?

・例えば、私の会社にもいると思いますが、誰もオープンにしていないですよね。私は、名前を変えたところから、前向きにもなれて、スカートをはいて出勤しています。MixRainbowのバッチまで付けていますよ(笑)。少しでも当事者の方が前向きになれるかなと思って、そのためには、自分が行動して、社内でも、LGBTQを理解してもらうよう、働きかけています。

― 自分事として知ってもらうって、大変ですね?

・日本は、SDDs、多様性と掲げておりながら、実態が伴っていないというか、諸外国に比べて、取り組みが遅れていると感じます。政治家も、政治のアイテムとしか、LGBTQを見ていないというか…。パートナーズシップ制度も、名目上作っただけで、コミュニティを作るとか、そこからどうして行くのかがはっきりしていない、と感じています。自分事として一緒に考えてもらうことが大事ですね。

・MixRainbowの活動に、行政の担当の方も来ていただいて、それを機に、パートナーズシップを導入して、コミュニティを作った地域もあります。NPO法人の取り組みをしていると、そうした行政や政治家の方ともお話しをする機会もありますが、どこの地域でも、集いの場があるように、働きかけて行きたいと思っています。どこに住んでいるかで、情報や制度が違う、地域格差があることは、問題だなと思います。

・LGBTQの課題は、当事者として悩みを相談できる場所と、受け止める側の人、当事者側からと、行政側からの、両方の取り組みが必要ですね。

― LGBTQの理解は社会で広まっているか?

・例えを出すと、氷川きよしさんの、ここ最近のご自身の表現はすごいと思います。あれだけの有名な方がカミングアウトすることは並大抵のことではなく、裏側には、演歌というイメージとのギャップに苦しまれたのだと思います。演歌の氷川きよしも、素のきーちゃんも、全てが氷川きよしさん。You Tuberのかずえちゃんも、等身大のなじみやすい方ですね。(私もチャンネルで紹介してもらいました!)

・そういう意味では、大きな影響力のある氷川きよしさんや、身近な存在なかずえちゃんが、ロールモデルにもなって欲しいなとも思います。

・LGBTQという言葉や、ドラマがここ最近出てきていますが、是非正しく理解して欲しいと思っています。年代によっても、理解の仕方が違うし、あとはやはり、一定の範囲で、LGBTQに対してネガティブな印象を持つ方も多く…、その理由は、正しく理解されていないからなんだと思います。

・行政、アライの方、教育現場に、理解をしてもらいたいと思っています。そういう意味では、この場でMixRainbowの活動も紹介していただけるのはありがたく思います。身近にいる存在だってことを知ってもらいたいです。

Q:最後に、プライベートのこと、趣味や好きなことも教えてください

・学生時代から活動しているオーケストラでは、フルートを担当しています。最近は忙しくて、なかなかできないですが…。ファッションやブランスバンドが好きな一方で、元々、仕事がエンジニアなこともあり、趣味で、3Dプリンターで物を作ったり、電気回路作ったりするのも好きなんです。性自認は、女性なんだけど、理系的なこともできるから、女性、男性でとらわれることもないなと、感じるところです。

 

(インタビュー 2021年9月17日)

 

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