【つながりびと 01】阪部 すみと さん

『楽観的に、前向きに、ハッピーに』
私が初めて出向いた、LGBTQのコミュニティ、「Tsunagary Cafe」を運営されている、阪部すみとさん。初めて訪れた時のコミュニティの良い意味で肩の力が抜けたラフな空間…、すみとさんの柔らかなお人柄や、運営のコンセプトに通じるものを感じた。お話をお伺いして行くと、これまでの人生は意外にもポジティブなことも多く、セクシャルマイノリティで悩む方にも、希望を感じられるお話であった。その原点は、すみとさんがご自身の性に気づき、その当時出向いたサークルにある。幸せそうに生きている人達に出会えたこと…。その時の思いが、現在運営されている「Tsunagary Cafe」にも根付いているような気がする。そんなすみとさんだが、身近な人にカミングアウトをしたのは、自身の性に気づいてからずっと後のことでもあった。フェイスブックでカミングアウトを告白した文章に、300ものいいね、コメントが集まった…。根底にある生きづらさを抱えながらも、ポジティブに自分らしく生きている、そんな、阪部すみとさんのライフストーリーをご紹介します。

         

阪部 すみと さん
1976年、大阪府生まれ。金融業界での会社員、その後、大阪府職員、また、NGOでの活動を経て、現在は、LGBTQのコミュニティ「Tsunagary Cafe」の代表を務めている。

Tsunagary Cafe(つながりカフェ)
自分らしく過ごせるサードプレイスとして、人との心地よいつながりが生まれるLGBTQフレンドリーなコミュニティを提供。レンタルスペースやZoom、イベント等で、またfacebookグループなどのオンラインのクローズドで安全な場所もご用意。

Q:自分の性について気づいたきっかけは?

・ちゃんと自覚できたのは、結構遅くて、26歳の頃でした。当時(20年くらい前)は情報もなかったし、男子同士で、女の子の誰がいいか、とかいう話にはついて行けず、もやもや感がありました。そんなに強く男性が好きだという認識はなかったのですが、例えば、高校や大学で親友だった人に対しては、後から振り返ると、自分が、「好きだ」という気持ちを持っていたのではないかと思います。

・はっきりと気づいたのは26歳、社会人になり4年ぐらい経ったころでした。ネットなどで調べるうちに、ゲイの人が書いている日記ブログを見つけました。当時はこういったブログはまだ珍しく、それを読んでとても共感ができたんです。

Q:その後どうされましたか?悩んだことは?

・自分のセクシャリティに気づいたその当時、関西にセクシャルマイノリティのサークル(G-FRONT関西)があり、そこに行ってみたんです。様々なセクシャリティの方、当時でもアライ(支援者)の方が集っていました。そこで色んな方に出会い、そしてその人達が楽しそうにしていたので、良い影響を受け、肯定的な情報に辿り着けたのが、良かったのだと思います。

・その後、ほどなく、現在のパートナーにも出会うことができました。

Q:カミングアウトや、どのようにされたか?

・今から7年くらい前、ちょうど、Tsunagary Cafeをはじめた少し後だったような。当時フェイスブックで、自分のセクシャリティについて長文でカミングアウトしました。そうすると、300人ぐらい、いいねを付けてくれたり、コメントをくれたり…、否定的な人は誰もいませんでした。

・ずっと隠していると、結婚しないの?彼女はいないの?そういうのがだんだん面倒にもなるし、誰に言ったかどうか、つじつま合わせが大変で。それならオープンした方が幸せになれると思ったんです。

・カミングアウトに勇気は要りましたけど、色々な経緯を経て、隠しておくよりも、オープンにして行くメリットの方が感じられ、ごくごく自然な流れでもあったと思います。

Q:家族へのカミングアウトは?

・家族へ伝えたのは、一番最後でした、今から3・4年前です。一番近い家族だけに、万が一受け止めてもらえなかったら辛いと思って、なかなか伝えられませんでした。何回も行こうとして辞めてを繰り返し、3・4年かかりました。

・当時、友人に母親役をやってもらい、カミングアウトのロールプレイングもやってもらったぐらいです(笑)

・カミングアウトの結果は…、結論から言うと、母親は知っていたということでした。以前からパートナーの母親同士でつながりがあり、ちょっとしたエピソードなのですが、パーナーと母親同士も含め、一緒に食事に行く際、歩きながら、パートナーのお母さんが、「この子達付き合っているから」と、母親の小耳に挟んだそうなんです。なので…、驚かれるということなく、知っていたよということでした。

Q:現在のご自身の活動について

― Tsunagary Cafeをやろうとしたきっかけは?

・以前は、例えばゲイのコミュニティであると、飲み屋とかバーとか夜の街が多くて、昼間のコミュニティと言えば、スポーツや音楽など。夜の街や共通の趣味でなくても、カフェでお茶を飲みながら、仲良くなれる場を作れば、来たい人がいるのではないかなと思って、始めてみました。

・今から7年前の2014年です。その頃、2015年には、渋谷でパートナズシップ制度が導入され、LGBTが認知されるようになった少し前の時期でした。

・20~30年前は、情報も相談できる場所もほとんどなかったと思います。その後、ネットやSNSなどが普及し、LGBTという言葉が一般的に知られるようになったのは、ここ10年経たないくらいだと思います。

― Tsunagary Cafeを運営していて感じることは?

・自身の時代と比べると、コミュニティにアクセスしてくる人が変わったというか。以前はLGBT、L=レズビアン G=ゲイ、はっきりとしたアイデンティティを持っている人が多かったです。けれど、ここ3~5年ぐらいは、はっきりと決めきれないセクシャリティが、若い人を中心に急増していると感じています。例えば、T=トランスジェンダーで、性別適合手術をしようとする人も割合として減っているように感じていて、なんというか、「もう自分でいんじゃない」みたいな人が増えて来た、そういった変化は感じています。

・「LGBT」ではくくれない、多様な性というのが、ネットやSNSもあり、知識としてみんなに浸透して来たからだと思います。

・Tsunagary Cafeのキャッチフレーズとして、『自分らしく人生を楽しむ人のためのLGBTQフレンドリーなコミュニティ』を掲げています。もちろんお悩みも相談もしていただいても構わないですが、基本は、自分が26歳の頃サークルに行った時の感覚…、幸せそうに生きている人達を見て、「今まで悩んでいたけど、意外といけるんじゃないか」、そう感じ、ある程度肩の荷が降りてくれるといいなと思っています。

・初めてアクセスしてくれた方には、「どうしてTsunagary Cafeに来ようと思ったか?」という質問をしています。僕の26歳もそうだったけど、皆さんアクセスするタイミングがというのがあって、思うところ、気づきがあって、来られています。そして、初めはセクシュアリティのことで悩みを抱えている方も、2回3回目と来るうちに、顔の表情が変わり、軽やかになって行く人をたくさん見てきています。

・Tsunagary Cafeでは、定期的な、リアル・オンラインのお話会に加え、フェイスブックで参加した人のコミュニティを設けており、Tsunagary Cafeで出会った方同志の、横のつながりを持てるようにしています。

Q:LGBTについて思うこと、これからの課題は?

― 情報は増えて来たけど、〝言えない”という風潮はあるような気はするけど…?

・それは根強くあると思います。ほとんどの当事者が、ごく身近な人にしか言っていないというのが、現状であると思います。

・日本ではまだやはり言いにくい、社会的な反応が怖いといった感じでしょうか。社会の状況が変わるにはまだ時間がかかりそうだと思います。

・言いにくいという背景には、特に日本では同調圧力で、ネガティブな反応が来るかもしれないという側面と、それと、セクシャリティの問題=セックスと捉えられてしまっている部分があります。そうではなくアイデンティティの問題、その人の根幹となる問題なのですが、どうしてもセックスのイメージが先行して見られがちだと感じます。

Q:プライベートのこと、趣味や好きなことを教えてください

― パートナーとのご関係は?

・パートナーは、知り合ってから20年近くなります。同性同士のパートナーは、長続きしないと言われますが、自分達の関係だけではなくて、コミュニティの中で関係性をオープンにしているので、困った時に、誰かに相談できたりもします。今後、日本でも、同性婚が認められるようになれば、もっと幸せを感じられるようになるのではと思います。

・長い付き合いで、空気みたいで、安心できる存在です。安定的なパートナーがいて、本当に良かったなと思います。カミングアウトも自分一人ではうまくいかなかったかもしれないけど、パートナーの存在があったから、スムーズにいった気もします。

— 趣味は?最近の楽しみは?

・前職がNGOで活動をしていたので、海外に行くことが好きで、当時はアジアの色んな国に行っていました。

・今、台湾に興味があって、以前、台湾のプライドパレードにも参加してみたんです。日本と関係が深い国でもありますし、台湾と日本のLGBTコミュニティと一緒に、輪を広げてみるのもいいなと思っています。

・昨年は八ヶ岳の高原リゾートでゆっくりしましたけど、今年はパートナーと沖縄の宮古島に行ってみたいと思っています。宮古島はまだそこまで開発されていなく、のんびりできると聞いています。

最後に、

振り返り、ものすごく辛かったということではなかったけど、生きにくさは根底にあったので、目指していることとしては、自分らしく生きて行ける、将来はそういう社会になればいいと、そんなコミュニティを運営できたらと思います。

 

(インタビュー 2021年5月14日)

▼参考記事 Tsunagary Cafeさんに参加した感想(ブログ)
18 初めて同じ境遇の方とつながる~LGBTのお話会に参加してみた~

 

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